リウマチ・膠原病専門外来

新しいリウマチ治療(抗サイトカイン療法)
関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は、関節に起こる炎症がもたらすつらい痛みや腫れ、変形を特徴とする病気です。その炎症が慢性化してくると、関節の骨や軟骨が破壊され関節が変形して痛みもひどくなり、日常生活に支障をきたすことになります。患者数は70万人とも100万人とも言われています。
これまでの関節リウマチの治療には、関節破壊を防ぐ抗リウマチ薬のメトトレキサートを中心に、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド剤などが使われてきました。しかし、患者様によっては効果に大きな差があるうえ、長く使うと効果が弱まったり、副作用が出たりして、治療に難渋しているのが現状でした。
リウマチ治療は大きな転換期を迎えている!
―症状緩和から骨破壊抑制へ、そして寛解へ―
近年、関節リウマチ(RA)の病態には、炎症を引き起こすTNFα・IL6・IL1などの炎症性サイトカインが深く関与していることが解ってきており、これを標的とした治療薬が開発されています。日本では、2003年にレミケード®(インフリキシマブ)が、2005年にエンブレル®(エタネルセプト)が認可され、これまでの抗リウマチ薬よりはるかに優れた治療効果が得られています。更に2008年にヒュミラ®(アダリムマブ)及びアクテムラ®(トシリズマブ)が新たに認可されました。
この4種類の生物学的製剤のうち3種類(エンブレル・レミケード・ヒュミラ)は、サイトカインのTNFαを、アクテムラはIL-6を特異的にブロックして効果を発揮する製剤です。
リウマチ関節では、これらのサイトカインが多く産生されており、この影響で関節に炎症が起こるために、痛みや腫れが生じてきます。

関節破壊の抑制
エンブレル・レミケード・ヒュミラ・アクテムラなどの生物学的製剤の特徴は、関節破壊の進行を強力に抑えることができます。
このことによって、将来起こってくる関節の変形や、機能障害を大きく抑えることができるでしょう。
一方、従来の消炎鎮痛剤やステロイド(プレドニン等)は、炎症や痛みは抑えても、関節破壊の進行を止める作用はありません。
抗リウマチ薬の代表であり、世界の標準薬であるMTX(メソトレキサート)でも関節破壊抑制の効果は見られますが、十分とは言えず、「エンブレル+MTX治療群」で、最も骨破壊が抑制されていることが、下図でわかります。

注)リウマチを発症して3年以内の患者様にエンブレルを使用したデータです。
4種類の生物学的製剤の特徴
| 商品名 | レミケード® | エンブレル® | ヒュミラ® | アクテムラ® |
|---|---|---|---|---|
投与方法 |
点滴 | 皮下注射 (自宅で投与可能) |
皮下注射 | 点滴 |
投与間隔 |
0、2、6週、 その後8週間毎 |
週に2回 | 2週間に1回 | 4週間に1回 |
投与時間 |
1~3時間 | ほとんど時間は かからない |
ほとんど時間は かからない |
約1時間 |
標的物質 |
TNFα | TNFα | TNFα | ILー6 |
MTX併用 |
必須 | 単独でも併用 でも可 |
単独でも併用 でも可 |
単独でも併用 でも可 |
日本で承認 された時期 |
2003年 | 2005年 | 2008年 | 2008年 |
生物学的製剤の適応
生物学的製剤は誰にでも使えるわけではありません。MTX等の抗リウマチ薬で効果が不十分だと判断された場合にのみ投与できることになっています。 また、投与できない基準があり、以前に結核にかかったことのある方、重篤な感染症のある方、心不全のある方などです。
生物学的製剤の抱える問題点
有効性
生物学的製剤はMTXで治療しても効果がなかった方に投与して、60%の有効率が見られましたが、残念ながら後の40%は、効果のない場合もあります。しかし、効果がなければ他の生物学的製剤にスイッチすることで、効果が期待できる場合もあります。- 費用について
保険の種類にもよりますが、治療費は3割負担では年間50万前後かかります。 - 副作用
作用として、免疫を強力に抑えるので、結核やその他の感染症に注意する必要があります。またアレルギー反応にも留意する必要があります。
以上の点に留意し、適切に投与されれば、生物学的製剤はこれまでの抗リウマチ薬にはない優れた治療効果が期待できます。






